超電導について

  • 2022/09/27
  • Fusion Power

超電導とは、物質が特定の条件下で電気抵抗を完全になくす現象のことです。通常、物質を通る電流は抵抗によってエネルギを失い、熱を生み出しますが、超伝導体ではこの抵抗がゼロになります。

この現象は、物理学者のヘイク・カマーリング・オンネスが1911年に発見しました。超電導が起こるためには、物質を極低温(液体ヘリウムや液体窒素の温度以下)に冷却する必要があります。この温度を超電導転移温度と呼びます。

超電導は、以下の特性を持っています。

  1. 電気抵抗がゼロ:電流が流れても抵抗によってエネルギーを失わないため、エネルギーの損失がなくなります。
  2. メーズ効果:超電導体内で磁場が侵入すると、その磁場を排除するために磁束が特定の量子化された値で固定される現象が起こります。
  3. 電気回路の安定化:電気信号が失われることなく、完全な電気回路が実現できます。

超電導は、高速な電子デバイスやMRIなどの医療機器、大電流を安定して扱うためのマグネット、未来のエネルギー転換技術など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。しかし、低温での操作が必要であり、超伝導体の材料や冷却方法など、技術的な課題が残されています。将来的には、室温超電導の実現が目指されています。